『ひたすらな道』管弦楽版 初演の模様
 プロ連定期演奏会No.9は、4人の人気作曲家が自作合唱曲の管弦楽版を自ら指揮するという画期的かつ魅力的な企画の演奏会で、1979年2月6日、東京文化会館大ホールを満席にして開催された。合唱はもちろん120人のプロ連、オーケストラは新日本フィルハーモニー交響楽団。1年以上前から日程を押さえて準備されてきた曲目は、湯山昭『コタンの歌』、中田喜直『ダムサイト幻想』、萩原英彦『白い木馬』。

 高田三郎『ひたすらな道』であり、この演奏会のためにオーケストレーションがなされた。中でも萩原英彦、高田三郎は自らの手でオーケストレーションしている。4人の作曲家たちは120人のプロ合唱団とオーケストラを前に自作を指揮するということに興奮し、喜びを感じていたという。

 かつてプロの指揮者としてのキャリアもあり、非常にこわい先生というイメージが当時すでに定着していた高田三郎もこのことは同様で、事前の練習に際しても、声を荒げたりなどの「伝説」をつくるようなこともなくおだやかに進行し、本番後もたいへん上機嫌であったという。
 

プロ連定期演奏会No.9  1979年2月6日、東京文化会館大ホール


プログラム表紙





日本プロ合唱団連合

 日本プロ合唱団連合(略称:プロ連)は1969年設立、4つのプロ合唱団(東京混声合唱団、二期会合唱団、東京放送合唱団、日本合唱協会)によって構成された、120人超のプロフェッショナルによる常設合唱演奏団体である。

 その目的は、他に例のない120人のプロならではの高度な技術と高い音楽性に裏打ちされた安定した演奏力をもって合唱音楽を広く聴衆に届けること。そして実際、ベートーベンの第九(当時、数々のオーケストラと共演し12月は連日公演があったという)はもとより、当時演奏機会の少なかった合唱を伴う大規模なオーケストラ作品(ブリテン『戦争レクイエム』ほか)、新作の委嘱・初演(三善 晃『レクイエム』ほか)、イタリアオペラ招聘公演への出演、プロ連としての定期演奏会(『ひたすらな道』管弦楽版の委嘱・初演もこの定期演奏会No.9で行われた/後述)、来日したライプチヒ・ゲバントハウス管弦楽団とともに東北地方各地の新しいホールのこけらおとし公演などに廻るなど内外のさまざまな著名オーケストラとの共演など、多岐にわたる演奏活動を精力的に行なってきた。

 これらを具体化したのは各団代表者による運営委員会で、その都度はっきりとした企画・制作意図を確認しあい、これに基づく演奏活動が積み重ねられた。これらの演奏活動は日本の音楽シーンに一時代を画し、大きな役割を果たした。こうしたプロ連の活動に触発・牽引されるかのように各地のアマチュア合唱団の質・量ともこの時期、大きく力量が向上した。

 一方で、さまざまな社会的変化や音楽界の変化、構成団体の一つである二期会合唱団が高まるオペラ人気を背景に本業のオペラ公演に専念するなど各団の独自活動が忙しくなる、あるいは団の分裂問題など各団それぞれの状況の変化の中で、公に解散したわけではないものの、現在、プロ連としての活動はたいへん残念なことに事実上停止している。